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オツネントンボの孵化

このページの最終更新日は2001年12月17日です.


卵が大きいヤンマ科やアオイトトンボ属以外の,孵化のページの拡大率は,比較できるように同じ大きさにしてあります.(卵のページと同じ拡大率で,拡大率の違う写真には拡大,または縮小と書いてあります.)


オツネントンボ  Sympecma paedisca  (Brauer)

成虫で越冬するトンボです.近畿地方では最も春早く,3月下旬から産卵をはじめるトンボです.水面に倒れたガマの葉や茎,または水面から伸び始めたマコモの新芽や他の単子葉植物の茎,葉の葉脈付近に産卵していました.産卵痕は小さいですが,植物によっては見えます.卵の前端の黒い部分が外から見える場合もあります.写真:葉脈付近に産卵された卵 兵庫県加西市

卵の大きさは産卵1日後は0.99×0.18mm,孵化1日前で1.10×0.25mmでした.最短卵期は11日,平均卵期(半数孵化)は13日でした.

オツネントンボの胚反転以降のようす 写真のPの後の数字・記号は経過時間を示しています.Sは写真を撮影した時間間隔です.(例 1d19:03は,1日と19時間3分ということです.)はじめ卵の後端(後極)近くにあった胚の頭部になるところが,卵の前端(前極)の方に反転 (長軸方向)すると同時に,180度回転(短軸方向に)しています.胚の反転をはじめてから6日で孵化しました.

 

オツネントンボの孵化

j均翅亜目の卵は孵化直前(多くの種で数時間前から)に,卵の前端が伸びます.前端が伸び,産卵植物からの脱出を容易にするためです.右端が卵から前幼虫が出る瞬間です.写真の1〜4までの時間は28分24秒でした.

卵から前幼虫が出るのは速く,個体によって差はありますが,この個体では20秒でした.4から5の前幼虫を経て,1齢幼虫になるまでに要する時間は2分19秒でした.前幼虫が卵から出たあと,小休止をした後,胸部背面が盛り上がり,前幼虫から1齢幼虫が出てきますが,この時間も短く,この個体では25秒でした.胸部背面が前幼虫の殻から出たあと,頭部,触角,下唇腮,腹部,肢が出て,最後に尾鰓が抜け出し,1齢幼虫になります.番号9のあと1分程度経過してから,気管が白くなります.

 

オツネントンボの1齢幼虫 大きさ 体長(頭部から腹部)約1.50mm,頭幅約0.35mm,触角の長さ約0.45mm,尾鰓長(側鰓)約0.95mm.