トンボの孵化
近畿地方に生息するトンボの卵の孵化を,順次掲載していきます.卵期(産卵してから孵化するまでの日数)は,産卵した卵(複数)が最初に孵化した日までを最短卵期,卵の半数が孵化した日までを平均卵期としています.これまで観察した中ではウスバキトンボが最も短く,最短卵期は3日でした.平均卵期も4日でした.卵期が長い種では平均卵期が180日をこすものもあります.
孵化のページの拡大率は,比較できるように同じ大きさにしてあります.(拡大率の異なる写真には拡大,または縮小と書いてあります.)卵が大きいヤンマ科やアオイトトンボ科のアオイトトンボ属は縮小してあります.
ふつう孵化といっているのは前幼虫が殻から出始める時ですが,内部の動きから判断すると,孵化はその数時間前から始まっています.均翅亜目では,前幼虫が出てくる数時間前から,卵の前端が伸び始めます.不均翅亜目も,孵化数時間前から内部の動きが活発になってきます.従って,その時期も孵化に含めるのが適当と思いますが,ここでは卵から出はじめるときを孵化が始まったとしています.孵化のページでは,前幼虫を経て1齢幼虫になるまでの写真と時間経過を書いています.
卵から出た前幼虫の期間は短い種で数十秒です.数分のものが最も多いのですが,水からやや離れた場所で孵化して前幼虫になる種や,水辺の草の茎などで孵化して前幼虫になる種は,前幼虫 が飛び跳ねて水のある場所に到達してから1齢幼虫になりますので,前幼虫の期間が数十分以上のものもあります.
卵から出てきた幼虫を前幼虫(prolarva),前幼虫からでた幼虫を1齢幼虫(1st instar
larva)としています.研究者によっては前幼虫を1齢幼虫,ここでいう1齢幼虫を2齢幼虫として取り扱うこともあります
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