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トンボの幼虫を飼育し羽化させる

このページの最終更新日は2008年6月19日です.

 幼虫の特徴  若齢の飼育    幼虫の餌   サナエトンボ科羽化例


採集してきた幼虫の名前がわからないときや羽化の観察のように中齢幼虫から終齢幼虫までを飼育し,羽化させるときの飼育用具や注意点について書いてみました.


幼虫を飼育するときに使う瓶(びん)など 採集してきた幼虫を飼育する容器は何でもかまいません.ガラスの瓶は洗うといつまでもきれいに使えます.ジャムなどの空き瓶などが適当です.海苔 (のり)のはいっていた瓶は大きさが適当ですが,割れやすいので注意が必要です. 一時的に使うのなら,ペットボトルの上部を切って下の部分だけを使うのが便利です.これは割れないので安心して使えます.透明なプラスチックの容器も割れにくいのでよく使っています.写真手前の小さな容器は卵用です.写真の場所は,羽化したトンボが逃げ出さないように,鉄製のラック全体をカーテンの生地で作ったネットでおおえるようにしています.

その他 小さな瓶には幼虫は1頭ずつ入れます.狭い場所に多数入れると共食いすることがあります.餌は毎日少しずつ与えます.ジャムの 瓶などのように小さい容器では,水が汚れるのでこまめに水を入れ替えるえる必要があります.小さな容器には,落ち葉1枚か2枚程度を入れておきます.落ち葉の下で餌を待っています.砂を入れると水を替えにくくなります.大きな水槽では川砂を入れ,オオカナダモ,クロモ,コカナダモなどの水草を入れておくと,水を替えなくても長期間水は汚れません.渓流に生息している種の飼育では,酸素が不足することがありますので,熱帯魚などの飼育に使うエアーポンプを使うことがあります. 翅芽(しが)が膨らんできて,餌を食べなくなると羽化が近いので,羽化するときにのぼる棒を入れておきます.すべりにくい木の枝がよいでしょう.乾燥した場所では失敗する種もありますので,そのような種は,あまり乾燥させないよう,大きな水槽の中や,水を少し入れた大きな浅い容器の上に瓶を置くなど工夫して羽化させます.

 

羽化が近づいたとき

羽化が近づいた幼虫の瓶には羽化する時に上ってくる棒を入れておきます.写真のように棒は斜めになるようにします.垂直にすると羽化を失敗することがあります.棒は道端に多いセイタカアワダチソウの枯れた茎などのやや細めのものが適当です.

サナエトンボ科の飼育

サナエトンボの仲間の飼育は,瓶より浅い広い容器がよいので,植木鉢の下に敷く皿(やや深めの)や洗面器のような容器に川の砂を少し入れ,水をその上に数cm入れ,羽化場所としてつかまりやすい石や流木などを入れるとよいでしょう.あまり浅い容器では 縁から逃げ出すことがあります.

枯れ枝などで羽化できるトンボ

イトトンボ科,モノサシトンボ科,アオイトトンボ科,カワトンボ科,ヤンマ科,エゾトンボ科,トンボ科のトンボは 立てかけた棒に上ってきて羽化できます.写真左:クロスジギンヤンマ 写真右:クロイトトンボ

 

空気が乾燥すると羽化失敗することがありますので,羽化用の容器をさらに大きな水を浅く入れた容器にいれると少しは失敗が減るようです.

 

水面近くや石につかまって羽化するトンボ

サナエトンボ科の多くは水面近くや石に上ってきて羽化しますので,広く浅い容器に,水を少し入れ,水面近くに羽化できる場所や,つかまりやすい石を入れておきます.

サナエトンボ科の羽化例はこちらをみてください.

その地域に生息しない種を羽化させるときには,羽化したあとのトンボが逃げ出さないように窓を閉めておくか, 周りを網で囲んで羽化させます.

近くで採集してきた種や,その地域に普通に生息している種であれば羽化後逃がしても問題はないと思います.