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トンボの若齢の飼育

このページの最終更新日は1999年12月1日です

 幼虫の特徴  幼虫の羽化    幼虫の餌


採卵したトンボの卵が孵化したあと少し大きくなるまでや齢期を調べたりするときの飼育の方法です.


   

上の写真左:ギンヤンマの若齢幼虫 終齢幼虫とは色や斑紋がちがっています,

写真中央と右:一斉に孵化したホソミオツネントンボの1齢幼虫 採集してきた産卵痕のある植物の茎を水に入れておくと一斉に孵化します.容器はフィルムケースの底の部分です.産卵植物が水生植物以外では,水につけると植物が腐って卵が発生しないことがあります.

孵化したばかりの1幼虫から脱皮を繰り返し終齢になりますが,何回脱皮して終齢幼虫になるか,またその齢の期間などを調べるとき

小さな容器を使い,はじめは数頭ずつ,少し大きくなれば1頭ずつ飼育します.

多くのトンボでは同じ時に産卵された卵はほぼ同じ頃に孵化しますので,ジャムの空き瓶程度の大きさの容器に10頭程度を入れます.水と餌以外は何も入れないほうが観察がしやすいと思います.餌は小さなミジンコ(ミジンコをすくってきて数日おいておくと小さなミジンコがたくさん生まれますので,スポイトですくって与えます)やブラインシュリンプをなどが適当です.餌は多めに与えます.幼虫がごく小さいときに水を替えるときは,スポイトを使って幼虫を移動させます.毎日観察して脱皮した殻や幼虫の大きさなどから齢期を判断します.はじめは死ぬものも多いのですが,大きくなるにつれて死ぬものも少なくなりますので1頭ずつ飼育します.餌も残さない程度にします.

写真:若齢の飼育用瓶  齢や齢期を調べるには,植物は入れずに足場となる棕櫚の紐(しゅろのひも)だけを入れています.

ジャムの空き瓶程度の大きさで,イトトンボ科,アオイトトンボ科,トンボ科,ヤンマ科まで終齢まで飼育できますが,多く飼育すると,水を替えたり餌をやったりするのに時間がかかりますので,大型のものはやや大きめの容器に移して観察するとよいでしょう.(水を替える回数がへります)

幼虫期間(孵化してから羽化するまでの期間)だけを調べるとき

あらかじめ大きめの水槽に川砂などを少し入れ,水草を入れ(日当たりのよいところではオオカナダモなど,室内ではウキゴケなど)てしばらく置いておいたものに孵化した1齢を入れ,時々餌を入れる程度で終齢まで飼育できます.

渓流などに生息する種(カワトンボ科,ムカシトンボ,サナエトンボ科の一部など)や特殊な環境に生育する種(ムカシヤンマなど)では飼育が難しいものがあります.

幼虫期間は種によって大きくちがいます.短いものでは30日ぐらいから長いものでは数年かかります.

 

写真左:ウキゴケ  春から夏にかけて,ヨシやガマなどの生育する池の水面をおおっています.採集してきたものを,光の弱い窓際などにおく飼育瓶に入れておくと1年中使えます.条件がよければどんどん増えますが,光の条件がやや難しく,明るすぎると生育しません.はじめ,採集してきたときにコケの間に,イトミミズやヤゴ,その他の小動物が入っていますので,目的に応じてしばらくようすを見てから使うとよいでしょう.

写真右:オオカナダモ  春から秋まで川や池でいくらでも見られますので,少し持ち帰り川砂を敷いた水槽などに入れておくとどんどん増えます,幼虫飼育には適当です.

 

写真:幼虫観察用水槽  この自作の小さな水槽は幼虫を観察をするためのもので,奥行きを短くしてあります.下に砂を入れて砂に潜るようすを見たり,餌を食べるようすなどの観察に使っています.これに入れて観察すると,いつもすぐ近くにいるので見えやすく,また,後ろに画用紙を入れるすきまを作ってあるので,色の違う画用紙を入れることによって見えやすくなることがあります.