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トンボの成虫の飼育法

このページの最終更新日は2001年12月10日です.

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狭い場所で飼育するときは,古いカーテンなどがあればそれで蚊帳(かや)のようなものをつくり,その中で飼育します.下の写真のものも古いカーテンで作ってあり,ラックの1段に取り付けたものです.手前側がファスナーで開閉できるようにしてあります.あまり多くのトンボを入れると飛び回りすぐ翅がいたむので,できるだけ数は少なくします.大型のギンヤンマなどは,近くに他のトンボが近寄ると食べてしまうことがあるので,1頭ずつ入れるのがよいでしょう.写真左:成虫飼育用のかご  写真右:止まって餌を食べるホンサナエ 

かごの下にすこし隙間をあけておき,下の棚板の上を掃除するといつもきれいに保てます.

採卵するために採集したトンボで採卵後標本にするトンボでは,このような場所に入れておくと翅がいたむ(特に黄昏飛翔性のあるヤンマなどでは明け方などに飛び回り翅を傷めます)ので三角紙から取り出し餌を与えたのちに,また三角紙に入れておいたほうがよいでしょう.

成虫の餌も生きている昆虫などです.近くに昆虫が多くいるところであれば捕まえてきて与えることができますが,適当な餌がないときは,釣り餌として釣具店などで売っているサバ虫(ハエの幼虫でさし虫ともいう)を蛹にしたものをトンボに与えます.これは扱いやすく,保存もできるのでいつでも与えることができます.この幼虫を常温でおいて置くと5日ぐらいで蛹になり,それから20日ほどでハエになります.その間に与えればよいのですが、あまり多く使わないときは冷蔵庫に保存しておくと、長期間蛹のままですのでいつでも与えられます.この餌で飼育するときは水を与えても与えなくてもあまり変わらないようです. 写真左:釣具店から買ってきたサバ虫を室内に5日置いておいたもの 写真右:とりだしたサバ虫の蛹

 トンボに与えるときまでは,はじめに入っている袋から出さないほうがよいようです.取り出しておくと一斉に羽化しハエ(成虫)になり逃げ出します.ハエになったものでもトンボはよく食べます.

幼虫から羽化させた成虫を飼育する場合は,3日目ぐらいから与え始めます.中型のサナエトンボで1日2個か3個,ギンヤンマなどの大型のものでは1日3個から5個程度を与えます.トンボの口に蛹を押しつけるようにすると食べ始めます.

私が飼育した例では古い記録になりますが,この方法で成虫を飼育し,長く生きていた日数はクロスジギンヤンマで85日,ギンヤンマで65日,ヤブヤンマで42日,オオルリボシヤンマで61日,マルタンヤンマで44日,最近(1999年)ではタベサナエが14日です.どれも羽化した幼虫を飼育した例です.上の写真のホンサナエは12日目に同じかごにいたクロスジギンヤンマに食べられてしまいました.