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トンボの卵の形や大きさを調べる

このページの最終更新日は2005年5月7日です

採卵の方法   卵期を調べる   卵の発生を調べる


トンボの卵の大きさを測ったり,形を調べたりする方法と注意点です.このページの卵の拡大率は同じです.


トンボの卵は小さいので測定には顕微鏡を使います.

トンボの卵の大きさは,産卵したときより時間が経過するにつれて大きくなります.全体が大きくなるものや,細長かった卵が丸みをおびてくるなど,トンボによって特徴があります.観察してみるとほとんどのトンボでは,産卵時から胚の反転時くらいまでに大きくなり,あとは大きさがあまり変化しないようなので今のところ大きさは産卵時と,胚が反転した後または孵化前の2回測定しています.形や大きさの個体差もかなりありますので、数卵の平均をそのトンボの卵の大きさとしています.また球形の卵以外は,見る方向によって大きさが小さく見えることがありますので,傾きがないようにして測定します.

クロイトトンボ卵の大きさの変化  写真は同じ個体ですが,産卵時と比べると孵化前は長径が1.16倍に,短径が1.33倍になっています.体積は約2倍に大きくなっています.

産卵後2日目        大きさ 0.83mm×0.15mm 産卵後4日目        大きさ 0.86mm×0.17mm 産卵後6日目        大きさ 0.96mm×0.20mm 産卵後9日目        大きさ 0.96mm×0.20mm

コオニヤンマ卵の変化  サナエトンボ科の多くの卵は長径はほとんど変化しないのですが,短径が大きくなるので,産卵時に比べ孵化前は丸みが増してきます.

産卵後3日目 大きさ0.73mm×0.40mm 産卵後12日目  大きさ0.75mm×0.49mm

 大きさの測定方法

大きさの測定は接眼マイクロメーターや対物マイクロメーターを使って直接測定する方法が普通と思いますが,数多く測定するには時間がかかります .

私が卵を測定する方法は,卵をデジタルカメラで撮影したときに,大きさの基準としている0.1mm単位の方眼マイクロメーター(1cmを100に区切った1つの目盛が0.1mmの方眼マイクロメーター)を撮影条件をかえるごとに撮影しておき, 卵の画像と基準となる方眼マイクロメーターの画像を,パソコン画面上で直接物差しで測定して,計算で卵の大きさを決めています.(パソコン画面で直接計る物差しは,パソコン画面をきづつけないように,方眼紙を厚紙に張ったものを使用しています)  また,多数の卵を測定するときはExcel(表計算ソフト)などで測定値を入力すると平均値やグラフがすぐ出るようにしておくと便利です.

ミルンヤンマの卵 この卵の画像を私のパソコン画面でそのまま測定すると208mm×55mmありました.0.1mm単位の方眼マイクロメーターの画像は1mmが113mmありました.長径が208/113mm,短径が55/113mmなので,このミルンヤンマの卵の大きさは1.84mm×0.47mmということになります.

トンボの卵の大きさと形は種によってだいたい決まっています.  シオカラトンボ,ウスバキトンボなどでは孵化前になっても,卵の形のやや異なるものが見られます.また,個体差のようですが,同じ種でも,かなり大きさの異なる卵が見られることがあります.

形は長径と短径の最大の長さで表しています.また短径/長径で、どれだけ球形に近いかを表すこともできます.短径/長径=1の場合が球形です.私が測定したこの値はだいたい次のとおりです.均翅亜目は0.18〜0.25で平均は0.22です.ムカシトンボは0.30,サナエトンボ科の平均は0.70,オニヤンマは0.78,ヤンマ科の平均は0.25ですが,カトリヤンマのみ大きく0.33です.トンボ科には球形に近いものも数種ありますが,平均すると0.73です.

次は2,3の例です.和名と卵の大きさです.()内は短径/長径の値です.値はこの個体のものです.

モートンイトトンボ   1.03mm×0.25mm(0.24)   グンバイトンボ  1.21mm×0.27mm(0.23) ムカシトンボ  1.20mm×0.33mm(0.28) ヒラサナエ  0.67mm×0.41mm(0.61)
タイリクアカネ     0.64mm×0.43mm(0.68) ナツアカネ      0.52mm×0.47mm(0.90) リスアカネ       0.68mm×0.66mm(0.97)