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アオイトトンボ科の卵

このページの最終更新日は2009年5月24日です.

産卵が長い期間見られるホソミオツネントンボなどでは卵期は4月では13日,6月では9日と気温(水温)の差でかなりあります.産卵は♀と♂が連結したまま産卵 することが多いようです.オツネントンボ、ホソミオツネントンボ、アオイトトンボ、コバネアオイトトンボでは主に水中から出ているイグサ科やガマ属の植物や,他の抽水(挺水)植物帯の植物に産卵することが多いようです.オオアオイトトンボは,池の周囲に生育する生きている木本の植物の茎に産卵します.(抽水(ちゅうすい)植物:浅い水中に成育し、茎や葉の大部分が水面より上に出ている植物で挺水(ていすい)植物ともいいます.)

採卵の方法:アオイトトンボ科はろ紙などに産卵しにくいので,産卵しているところを見つけて,産卵植物を持ち帰ります.また産卵痕がはっきりしているホソミイトトンボ,アオイトトンボ,オオアオイトトンボは産卵後でも,産卵痕を見つけて採卵出来ます.

アオイトトンボ  Lestes sponsa (Hansemann)  卵の大きさ:産卵直後1.51mm×0.26mm.孵化少し前1.69mm×0.32mm.卵期:最短13日.秋に産卵したアオイトトンボの卵は,野外では翌春に孵化するのが普通ですが,採卵後,気温の高い室内 の水中に置くと,20日前後で孵化することが多いようです. 野外では秋に産卵された卵は翌年の春孵化し,5月に羽化します.

オオアオイトトンボ  Lestes temporalis Selys  卵の大きさ:産卵直後1.54mm×0.28mm.孵化少し前1.78mm×0.34mm.卵期:126日から185日. 野外の 羽化時期はアオイトトンボより少し遅れます.

コバネアオイトトンボ Lestes japonicus Selys  卵の大きさ:産卵直後1.34mm×0.21mm.孵化少し前1.49mm×0.27mm.卵期:最短154日.平均(半数孵化)174日. 卵はアオイトトンボ,オオアオイトトンボより小さく,黒っぽいので植物中にある卵でも見分けることができます.

オツネントンボ  Sympecma paedisca paedisca (Eversmann)  卵の大きさ:産卵直後1.01mm×0.17mm.孵化少し前1.11mm×0.23mm.卵期:11日 から14日.平均(半数孵化)13日.

ホソミオツネントンボ Indolestes peregrinus (Ris)  卵の大きさ:産卵直後1.11mm×0.19mm.孵化少し前1.22mm×0.26mm.卵期:8日 から14日.平均(半数孵化)12日.

アオイトトンボの産卵 水中から伸びているマコモ,ガマ,イなどの抽水植物に産卵しているのをよく見かけますが,水がほとんどなくなった池に生育するイネ科の植物などにも産卵します.2001年9月16日撮影 兵庫県小野市 ホソミオツネントンボの産卵 水面から伸び始めた植物に産卵しているのをよく見かけます. 2000年4月25日撮影 兵庫県加東市
オオアオイトトンボの産卵 池の周囲に生育する樹木の枝に産卵しますが,下に水面がある枝に限られます.秋遅くまで産卵しています.2003年11月14日撮影 兵庫県加古川市 卵2種 アオイトトンボは普通1つの産卵痕に4,5個の卵が見られますが,写真のアオイトトンボの卵は細い茎(幅約1.2mm)に産卵されたもので,産卵痕1つに1個の卵しかありません.下のコバネアオイトトンボの卵は産卵後1日程度で黒っぽくなりますので,アオイトトンボの卵と見分けられます.ただし,産卵後すぐに卵寄生蜂が寄生した(卵寄生蜂の卵が生みこまれた)卵はあまり黒っぽくはなりません.
下の図の卵の大きさは他の1/2に縮小してあります.

アオイトトンボ(写真 1:産卵後0日目の卵  2:産卵後5日目の卵 3:産卵後10日目の卵)

オオアオイトトンボ(写真 1:産卵後8日目の卵  2:産卵後182日目の卵 3:産卵後195日目の卵)

コバネアオイトトンボ(写真 1:産卵後1日目の卵  2:産卵後162日目の卵 3:産卵後171日目の卵)

オツネントンボ(写真 1:産卵後0日目の卵  2:産卵後11日目の卵 3:産卵後14日目の卵)

ホソミオツネントンボ(写真 1:産卵後2日目の卵  2:産卵後8日目の卵 3:産卵後12日目の卵)

下の図の卵の大きさは他のページと同じです.アオイトトンボ属の3種(アオイトトンボ.オオアオイトトンボ,コバネアオイトトンボ)は胚反転後,胚の腹側が植物の表面側を向いています.オツネントンボ,ホソミオツネントンボは胚反転後,胚の背側が植物表面にきています.