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カワトンボ科の卵

このページの最終更新日は2009年5月25日です.

近畿地方に生息するカワトンボ科5種の卵の大きさ,形はよく似ています.大きさの個体差は比較的大きいようです. 産卵植物中の完成卵の胚の向きはアオハダトンボ,ハグロトンボ,ミヤマカワトンボはイトトンボ科と同じで,胚の背側が植物表面側を向いていますが,アサヒナカワトンボ,ニホンカワトンボは胚の腹側が植物表面側を向いています.

下の写真の中の1は産卵直後の卵,2は胚反転ころの卵,3は完成卵(まもなく孵化する卵)です.4は1齢幼虫の頭部の様子で,その他は図中に書いてあります.

採卵の方法:ろ紙などにはほとんど産卵しないので,産卵しているところを見つけて,産卵した植物を持ち帰ります.産卵した植物がオオカナダモやコケなどであれば,そのままで孵化まで観察できます.

分類の見直しによりニシカワトンボ→カワトンボ→アサヒナカワトンボに,オオカワトンボ→ニホンカワトンボに変更しました.

アサヒナカワトンボの産卵 2004年5月26撮影 兵庫県芦屋市 ハグロトンボの産卵 2000年7月23日撮影 兵庫県三田市
アオハダトンボ  Calopteryx japonica Selys  卵の大きさ:産卵直後1.22mm×0.20mm.孵化少し前1.31mm×0.27mm.卵期:最短11日.平均(半数孵化)15日.流水中のクロモ,オオカナダモなどの茎に産卵します. (写真 1:産卵後0日目の卵  2:産卵後7日目の卵 3:産卵後11日目の卵)
ハグロトンボ Calopteryx atrata Selys  卵の大きさ:産卵直後1.22mm×0.21mm.孵化少し前1.30mm×0.27mm.卵期:最短13日.平均(半数孵化)15日.ゆるやかな流れに生育するのクロモ,オオカナダモ,ササバモなどの茎に産卵します. (写真 1:産卵後1日目の卵  2:産卵後7日目の卵 3:産卵後10日目の卵)
ミヤマカワトンボ  Calopteryx cornelia Selys  卵の大きさ:産卵直後1.25mm×0.23mm.孵化少し前1.36mm×0.33mm.卵期:最短13日.平均(半数孵化)16日.流水中の流木に産卵することが多いようです.比較的流れの急なところでも産卵します.産卵した流木を持ち帰った場合,同じような環境に置くか,または,卵を取り出しておかなければ発生が止まってしまうことが多いようです.2001年は産卵した流木を持ち帰り,エアーポンプで空気を送りこんだところ,順調に発生して,孵化しました.取り出して水中に置いた卵も,順調に孵化しました. (写真 1:産卵後1日目の卵  2:産卵後5日目の卵 3:産卵後11日目の卵)
アサヒナカワトンボ  Mnais pruinosa  Selys  卵の大きさ:産卵直後1.20mm×0.21mm.孵化少し前1.26mm×0.27mm.卵期:最短14日.平均(半数孵化)17日.渓流に生育するコケや,小さな流木に産卵することが多いようです. (写真 1:産卵後1日目の卵  2:産卵後7日目の卵 3:産卵後14日目の卵)
ニホンカワトンボ Mnais costalis Selys  卵の大きさ:産卵直後1.22mm×0.21mm.孵化少し前1.30mm×0.27mm.卵期:最短14日.平均(半数孵化)16日.緩やかな流れに生育する植物の茎や枯れた葉などに産卵することが多いようです. (写真 1:産卵後1日目の卵  2:産卵後8日目の卵 3:産卵後13日目の卵)