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トンボ科アカネ属の卵

このページの最終更新日は2009年7月12日です.

種によって大きさ,形,色の濃さ,卵の周囲のゼリー状物質などが少しずつ異なっています.近畿地方で記録のあったアカネ属のトンボは18種です .近畿地方ではスナアカネ,タイリクアキアカネ,オナガアカネは迷入種(偶産種)です.タイリクアカネ, スナアカネ,ネキトンボは卵期は短いのですが,他の多くの種は秋に産卵して翌年の春孵化するのが普通のようです.アカネ属で打空産卵する種の卵は球形に近い形をしています.

卵期は温度(気温,水温)により大きく変化しますが,室内の記録ですので参考程度です.卵期は 種にもよりますが,何回も調べた中で,最も短い卵期を最短として,また半数孵化の一番大きい値を半数孵化として書いてあります.1998年〜2008年の記録です.

トンボ科アカネ属の卵でも,産卵時は小さく,孵化直前(胚反転頃にはすでに大きくなっています)には 大きくなります.トンボ科(アカネ属を除く)の平均では卵の長径は約10%,短径が約22%大きくなりましたが,アカネ属の卵の平均では長径で約8%,短径は約9%大きくなります.

採卵の方法:あらかじめ水を入れた小容器を用意しておき,産卵中の♀を捕まえて,♀の腹端を,容器中の水につけると産卵を始めます.

トンボ科アカネ属は次のページに分けてあります.卵,前幼虫,1齢幼虫は同じ拡大率ですので,大きさを比較できます.

アキアカネ,タイリクアキアカネ,タイリクアカネ ナツアカネ,スナアカネ,マユタテアカネ,マイコアカネ
ヒメアカネ,オナガアカネ,ミヤマアカネ,ネキトンボ ノシメトンボ,コノシメトンボ,リスアカネ
ナニワトンボ,マダラナニワトンボ,キトンボ,オオキトンボ  

他の科は次から進んで下さい.

アカネ属卵の変化の様子の例 マダラナニワトンボ:10月26日〜12月2日までの変化  アカネ属の卵は,産卵時はどれも白っぽいですが,1日ぐらい経過すると種によって,黄褐色から濃い褐色に変化します.卵を取り巻くゼリー状の物質が多い種では多くの卵を小さな容器に採卵すると,塊になってしまい,塊の中心部の卵が,なかなか褐色にならず,孵化が遅れたり,場合によっては孵化できなくなります(死んでしまう)ので,採卵したら,一度容器を振ってから,静かにおいておくと,卵が適度な距離を保ちます.

なかなか褐色にならない卵は未受精卵のことが多く,発生が始まらないばかりか,後でカビが生えてきて観察がしにくくなりますので,そのような卵はとり除いておきます.

卵の前端には突起がありますが,後で取れてしまったり,元の位置からずれていくことがあります.発生が進んでくると胚の頭部が卵の後端方向に見えてきますが,やがて反転して,胚の頭部が卵の前端方向を向きます.下のタイリクアカネの図と中央のマユタテアカネの図は胚は反転して完成した普通の状態の卵です.右端のマユタテアカネの卵では卵は孵化できる状態ですが,胚の頭部は卵の前端を向いていません.しかし,トンボ科では,反転しないで,そのまま卵が完成することも多く見られ,それでも孵化できます.