トップページ 羽化殻 卵寄生蜂
成虫 飼育・孵化・羽化 観察記録 採卵方法
雑記(トンボ) 雑記(他昆虫孵化他)   雑記(野草)
ページ一覧表 その他 English version リンク

 

イトトンボ科 モノサシトンボ科 アオイトトンボ科 カワトンボ科
ムカシトンボ科 ムカシヤンマ科 サナエトンボ科 オニヤンマ科
ヤンマ科 エゾトンボ科 トンボ科 トンボ科(アカネ属)

 

トンボ科の羽化殻

近畿地方で記録のあったトンボ科のトンボは34種です.そのうちアカネ属が18種で,アカネ属でない種が16種です.トンボ科のうち,アオビタイトンボ の羽化殻はまだ採集していません.ここでは33種の羽化殻を載せてあります.数が多いのでアカネ属とアカネ属 でない種に分けてあります.

トンボ科アカネ属の羽化殻の比較

このページの最終更新日は2009年5月7日です.

このページの写真の羽化殻のほとんどは,幼虫を羽化させて得たものですが,一部野外で採集したものも含まれています.野外で採集したものは泥がついていることがあり,背棘(はいきょく:腹部背面のとげのこと)や側棘(そっきょく:腹部側方のとげ)のようすがよく見えないことがあります.アカネ属の羽化殻はよく似ているものが多く,一見して同定するのは難しいのですが,ルーペで多くの羽化殻をみることと,生息環境を知ることで,ほとんど同定できます.近畿地方で記録のあった18種です.

アカネ属に限りませんが,環境によって大きさに差があるようです.前回測定した時にリスアカネが小さく思われたのですが,今回測定したリスアカネの羽化殻はどれもノシメトンボの羽化殻と同じぐらいの大きさがありました. 今回同じ池で採集したナニワトンボの幼虫や羽化殻も標準よりかなり大きかったようです.卵から飼育して羽化させた羽化殻は餌不足が原因のようで,小さいことが多いようです.オナガアカネ,タイリクアキアカネの羽化殻はどれも卵から飼育して羽化させて得たものですので,自然状態で育ったものより,小さいのかもしれません.

私が観察したそれぞれの種の特徴をまとめてみました.羽化殻の大きさ,体の斑紋, 腹部第8節と腹部第9節の側棘のようす,下唇の形,下唇の褐色斑,背棘のようすなどで同定しますが腹部第7節,腹部第8節の背棘は個体で変異が多いようです.下唇の褐色斑も個体差があるようです.下の文中の17-20(19.2)mmは17mmから20mm程度の大きさで数個体の平均は19.2mmということです.羽化殻の大きさは下の図のように頭部から腹部の端までを測定しました.下の写真の6,7,8,9は腹節をあらわしています.

全形の比較 (拡大率は同じ)

アキアカネ Sympetrum frequens (Selys)   羽化殻の大きさ15-20(18.4)mm.腹部第8節の側棘はその節と同じ長さかやや短い.腹部第9節の側棘はその節の1.2-1.5倍の長さ.背棘は 腹部第4節-8節にあり,細く短く直線状.下唇の褐色斑は側片にあります.

タイリクアキアカネ Sympetrum depressius culum (Selys)  羽化殻の大きさ14-16(14.8)mm.腹部第8節の側棘はその節と同じ長さ,腹部第9節の側棘はその節の1.2-1.5倍の長さ.背棘は 腹部第4節-8節にあり,細く短くやや曲がっています.下唇の褐色斑は側片にあり ,中片にも少しあります.

 タイリクアカネ Sympetrum striolatum imitoides Bartenef   羽化殻の大きさ17-20(19.2)mm.腹部第8節の側棘はその節の1/3の長さ,腹部第9節の側棘はその節と同じ長さで太い.背棘は 腹部第4節-8節にあ りますが,個体によってはごく小さい場合があります.下唇の褐色斑は側片に少しある個体が多いようです.

ナツアカネ Sympetrum darwinianum (Selys)    羽化殻の大きさ15-18(17.0)mm.腹部第8節の側棘はその節の1.3倍の長さ,腹部第9節の側棘はその節の1.3倍の長さ.背棘は腹部第4節-8節にあり,細くやや曲がってい ます.下唇の褐色斑がない個体と,側片に淡色の褐色斑がある個体があります.

スナアカネ  Sympetrum fonscolombei (Selys)  羽化殻の大きさ16-19(17.4)mm.腹部第8節の側棘,腹部第9節の側棘ともにごく短い.背棘はありません.下唇の褐色斑は側片にあり,中片にも少しある個体もありますが,中には褐色斑が側片にも中片にもほとんどない個体もあります.

マユタテアカネ  Sympetrum eroticum eroticum (Selys)    羽化殻の大きさ13-17(15.2)mm,腹部第8節の側棘はその節の2/5の長さ,腹部第9節の側棘はその節の3/4の長さ.背棘は腹部第4節-8節にあり,太く長く曲がっています.下唇の褐色斑は側片にも中片にもあります.体の斑紋がはっきりしています.

マイコアカネ Sympetrum kunckeli (Selys)    羽化殻の大きさ13-16(13.7)mm.腹部第8節の側棘はその節の1/2の長さ,腹部第9節の側棘はその節と同じ長さ.背棘は腹部第4節-8節にあり,太く短い.下唇の褐色斑は側片にあり,中片にも少しあります.体の斑紋がはっきりしています.

ヒメアカネ Sympetrum parvulum (Bartenef)    羽化殻の大きさ11-14(12.3)mm.腹部第8節の側棘はその節の1/4の長さ,腹部第9節の側棘はその節の1/3の長さ.背棘は腹部第4節-8節.下唇の褐色斑は側片に少しあります.

オナガアカネ Sympetrum cordulegaster (Selys)   羽化殻の大きさ12-16(13.5)mm.腹部第8節の側棘はその節の1/3の長さ,腹部第9節の側棘はその節の3/5の長さ.背棘は腹部第4節-8節にあり,太くやや長い.下唇の褐色斑は側片にあり,中片にも少しあります.

ミヤマアカネ Sympetrum pedemontanum elatum (Selys)   羽化殻の大きさ15-16(15.4)mm.腹部第8節の側棘はその節の1/3の長さ,腹部第9節の側棘はその節の3/5の長さ.背棘は腹部第4節-8節にあり,やや太く長く少し曲がっています.下唇の褐色斑は側片にあります.

ノシメトンボ  Sympetrum infuscatum (Selys)    羽化殻の大きさ17-20(18.8)mm.腹部第8節の側棘はその節の1.4倍の長さ,腹部第9節の側棘はその節の1.5倍の長さ.背棘は腹部第4節-8節にあり,細く長くやや曲がっています.下唇の褐色斑は側片にあります.

コノシメトンボ  Sympetrum baccha matutinum Ris    羽化殻の大きさ15-18(17.6)mm.腹部第8節の側棘はその節の1/2の長さ,腹部第9節の側棘はその節と同じ長さ.背棘は腹部第4節-8節にあり,細く小さい.下唇 に褐色斑がない個体が多いようです.体の斑紋がはっきりしています.

リスアカネ  Sympetrum risi risi Bartenef    羽化殻の大きさ14-20(17.2)mm.腹部第8節の側棘はその節の1.5倍の長さ,腹部第9節の側棘はその節の1.5倍の長さ.背棘は腹部第4節-8節にあり,細い.下唇の褐色斑は側片にあり,中片にも少しあります.

ナニワトンボ Sympetrum gracile Oguma  羽化殻の大きさ13-17(15.1)mm.腹部第8節の側棘はその節の1.7倍の長さ,腹部第9節の側棘はその節の1.7倍の長さ.背棘は腹部第4節-8節にあり,やや太く曲がっています.下唇の褐色斑は側片にも中片にもあります.体の斑紋がはっきりしています.

マダラナニワトンボ  Sympetrum maculatum Oguma  羽化殻の大きさ約13-16(15.2)mm.腹部第8節の側棘はその節の1.5倍以上の長さ,腹部第9節の側棘はその節の1.5倍以上の長さ.背棘は腹部第4節-8節にあり,細く,曲がっています.下唇の褐色斑は ないか,ごくうすい色の褐色斑があることもあります.

キトンボ Sympetrum croceolum (Selys)  羽化殻の大きさ17-20(18.3)mm.腹部第8節の側棘はその節の3/4程度の長さ,腹部第9節の側棘はその節の1.2倍の長さ.背棘は腹部第4節-9節にあります.7節、8節の背棘は太く長く曲がっていますが9節の背棘は小さいことが多いようです.下唇の褐色斑は側片に少しあります.

オオキトンボ  Sympetrum uniforme (Selys)   羽化殻の大きさ19-24(22.6)mm.腹部第8節の側棘はその節の4/5の長さ,腹部第9節の側棘はその節の1.2倍以上の長さ.背棘は腹部第4節-9節にあり,太く長く曲がっています.下唇の褐色斑は側片にあります.

ネキトンボ   Sympetrum speciosum speciosum Oguma   羽化殻の大きさ16-20(19.0)mm.腹部第8節の側棘はその節の4/5の長さ,腹部第9節の側棘はその節と同じ長さ.背棘は変異が多く普通腹部第4節-7節にありますが,背棘を欠くものから 腹部第8節にもある個体があります.下唇の褐色斑は側片に少しあります.